雛人形・ひな祭りの歴史と由来が分かる
撫でもの「天児・這子」が雛人形のルーツ。
人形のルーツを物語る信仰的な人形に「天児あまがつ・這子ほうこ」と呼ばれる人形があります。犬型の犬筥いぬばこと併せて産育や婚礼の場で重視される人形であるため、雛人形と一緒に紹介されることが多いものです。小さな犬筥はひな段にも添えられました。
案山子かかしのような姿の天児と、ぬいぐるみの様の這子は、人の身代わりとして災厄を祓う形代かたしろが立体的に発展した人形と考えられています。安産のシンボルである犬を象った犬筥は、神社の狛犬を思わせるようなフォルムですが、頭は人間の子供のように描かれています。これらは妊婦や産婦、子供が災難から逃れ、健やかに過ごせるように寝室に置かれました。今ほど科学的医療が未発達だった時代に、子孫繁栄の祈りが込められた神秘的な造形が魅力です。
資料 岩槻人形博物館