雛のかたちは、立雛と座雛
「立雛」は主として紙で作られたもので、一名「紙雛」とも呼ばれます。立雛の方が歴史は古く、形から推察しても天児あまかつ・婢女ほうこからきた男女一対の雛人形のように見えます。
きわめてシンプルな形で、厚紙で胴体をなし、そこへと桐塑頭・木で作られた頭を差し込み、面相を整え髪つけをしたものです。
座雛は寛永(1624年)以後に作られたもので、抽象的な立雛に比べて、写実的な彩りにつつまれています。
面白いのは、上巳の節句、雛遊と雛の対象が貴族、武家にとどまっていた頃は立雛で、それが武家から庶民の手に移って、庶民の創造から生まれたものが座雛であるということです。
しかし、座雛がつくられてすぐに立雛が無くなった訳でなく享保(1716年)頃までは立雛と座雛が対等に飾られています。
そして享保以後は座雛が主、立雛が従となりました。
こうして色々と形が整えられて古今雛(1764年~1772年)に至って男雛・女雛の一対雛人形が様々な人形や調度品・道具が加わり豪華なものになってまいりました。
ところで、上方と江戸では雛人形の飾り方が異なり、上方は御殿飾りの二段飾り(御殿内に雛一対を置き、その他に官女・左大臣・右大臣・桜橘を置きほか座敷に天児・這子・犬張子・市松人形・御所人形・お公家様の調度品を置く)、江戸では、五段飾り・七段飾り・九段飾りと最上段に内裏雛を置くという飾り方でした。
明治以降になって、雛人形も全国的に同じ傾向になりました。
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